KDP、DKDP 非線形 (NLO) 結晶

KDP (Potassium Dihydrogen Phosphate)、DKDP(Deuterated KDP、KD2PO4)、およびDKDP(一般にDKDPの別表記)は、非線形光学(NLO)結晶として広く利用されている重要な材料です。これらの結晶はレーザー技術において特に重要な役割を果たしています。

特徴

KDP (KH2PO4)
用途: 主に倍波発生(SHG)、三倍波発生(THG)、および電気光学(EO)用途に利用されます。
特性: 高い透過性(約200 nm~1,500 nm)、適度な非線形性、高い光学均一性を持つ。
利点: 製造が比較的容易で、大口径結晶の成長が可能。
DKDP (KD2PO4)
用途: 主にレーザー波長変換、電気光学変調器、偏光スイッチに使用されます。
特性: KDPに比べて高いレーザー損傷閾値とより低い吸収率を持つため、高出力レーザーシステム(特にNd:YAGレーザー)に適しています。
利点: 中赤外線領域における利用が可能で、特にレーザー慣性核融合や高エネルギーレーザーシステムで採用。

主な用途

波長変換(倍波発生、三倍波発生)
Nd:YAGやNd:Glassレーザーの波長を532 nm(緑色光)や355 nm(紫外線)に変換。
主にレーザー加工、科学研究、医療分野で活用。
電気光学用途
EO変調器やレーザースイッチ(Qスイッチ)に使用。
高速で正確なレーザー制御が可能。
高出力レーザーシステム
慣性核融合エネルギー(IFE)プロジェクトや高エネルギー物理学のレーザーシステムで広く採用。
分光分析および通信
紫外から中赤外域でのレーザー生成や伝送に重要。
注意点
KDPおよびDKDP結晶は吸湿性があるため、乾燥環境で保管・使用する必要があります。
大口径結晶の精密加工には高度な技術が求められます。

Basic Properties

KDP DKDP
Chemical Formula KH2PO4 KD2PO4
Transparency Range 200-1500 nm 200-1600 nm
Nonlinear Coefficients d36=0.44 pm/V d36=0.40 pm/V
Refractive index (at 1064nm) no=1.4938, ne=1.4599 no=1.4948, ne=1.4554
Electro-optical Coefficients r41=8.8 pm/V
r63=10.3 pm/V
r41=8.8 pm/V
r63=25 pm/V
Longitudinal half-wave voltage Vπ=7.65 KV(λ=546 nm) Vπ=2.98 KV(λ=546 nm)
Absorptance 0.07 /cm 0.006 /cm
Optical Damage Threshold >5 GW/cm2 >3 GW/cm2
Extinction ratio 30 dB
Sellmeier equations of KDP:(λ in um)
no2=2.259276+0.01008956/(λ2-0.012942625)+13.00522λ22/(λ2-400)
ne2=2.132668+0.008637494/(λ2-0.012281043)+3.2279924λ2/(λ2-400)
Sellmeier equations of DKDP:(λ in um)
no2=1.9575544+0.2901391λ2/(λ2-0.0281399)-0.02824391λ2+0.004977826λ2
ne2=1.5005779+0.6276034λ2/(λ2-0.0131558)-0.01054063λ2+0.002243821λ2